【怖い話】手のない彫像

短編の怖い話



新たな公園が近所にできることは、町の住民にとって大きなニュースだった。公園のオープンを記念して、彫刻家が手掛けた大きな彫像が中央に設置されることになった。しかし、彫像が設置された日、住民たちは驚愕した。彫像は美しく、表情もリアルだったのだが、何故か両手が欠けていた。

彫刻家は、これは意図的に手を欠けているデザインであると説明したが、多くの住民は納得せず、怖がった。なぜなら、この町には昔から「手を探す霊」の伝説があったからだ。夜中に道を歩いていると、手を探しているかのような声が聞こえ、翌朝には無数の手の形をした跡が見つかるという話だ。

公園がオープンしてから、彫像の近くで手を探すような音が聞こえるという噂が立った。興味津々の青年たちが夜中に公園を訪れるようになったが、そのうちの何人かが行方不明になった。警察も捜査を開始するが、行方不明者は一向に見つからなかった。

ある晩、町の住民である翔太が公園に足を運んだ。彼は霊感が強いとされる家系の出身で、自身も霊的な現象に敏感だった。彫像の近くで待っていると、彼は何かを感じ取った。彫像の台座部分から、微かに光るものが見えた。

翔太は台座の近くを掘り始めた。しばらくすると、土の中から人の手の骨が出てきた。その数は、行方不明者と同じだった。

彫像の設置時に、偶然にも伝説の霊の手を封じ込めてしまったのかもしれない。彫像は撤去され、手の骨は適切に埋葬された。公園は再び平和な場所となり、行方不明者の霊も安らかになったと言われている。



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