【怖い話】電話からの呼び出し音

短編の怖い話



電話からの呼び出し音

私の生まれ育った実家は、土地は広いけど家は小さいという問題がありました。その家に踏んでいるのは両親と、祖父母と私と二人の弟の7人です。小さな家に7人も住むことになるので部屋の数が足りず、おかげで私は高校3年生になるまで、弟たち二人と一つの部屋を使っていました。でも高校3年生ともなるとさすがにプライベートな空間が欲しくなる年頃。

私は両親に頼み込んで、有り余る庭の片隅にプレハブを置いてもらい、ようやく念願のマイルームを手に入れました。ただしみんなが住んでいる家とプレハブは少し離れています。双方にとって用事があった時にわざわざ行くのは面倒なため、マイルームにはインターフォンが取り付けられました。このインタフォンの主な用途は、食事の用意ができたという連絡と目覚ましでした。

呼び出しの音がなった後、大体は母親の声で「朝だよ」とか「ご飯だよ」とスピーカーから声がします。それに対して私も「わかったよ」とか「今いくよ」と返事をします。

そんな生活も何ヶ月か続き、ある程度落ち着いてきたある日。その時にあの体験をしました。私の部屋のインターフォンがなり、続いて母親の声で「朝だよ、ご飯を食べにきな」と声が聞こえました。

もう朝か・・・

私はそう思いながら眠い目をこすりながらベッドを抜け出し、インターフォンに向かいました。インターフォンの通話ボタンを押そうとした時に、ふとあることに気づきます。

カーテンの向こう、まだ真っ暗じゃないか?

何時もなら起こされた時に、カーテンの向こうは朝日に照らされて明るくなっています。しかし今、カーテンの向こうは真っ黒な闇です。不思議に思い机の上の時計に目を向けました。その針が指している時刻は深夜の2時30分。きっと母親が起こしてくれる夢を見たんだな・・と思い、再びベッドの中に入りました。

眠りを満喫しようと思った瞬間、全身が固まってしまいました。あの時を振り返ると、私は金縛りにあっていたんだと思います。指先までピシッと固まって、ピクリとも動かせませんでした。もちろん頭も動かすことができませんでしたが、かろうじて目だけは動かすことができたんです。何かないかと焦りながら私は目線を必死に動かしました。

そしてふと私の目にあるものが目に止まったんです。それはあのインターフォンでした。このインターフォンは相手から呼び出し音がなると、小さい赤いランプがつきます。その赤いランプが光っていました。

ということは・・・誰かに呼び出されている。しかし不思議なことに、呼び出し音は聞こえてきません。

体が動かないだけではなくて耳も聞こえなくなってしまうのか?

そう思った時にインターフォンから、ジリジリ・・・とノイズが聞こえてきたんです。しかもそのノイズに混ぜって声も聞こえてきました。最初は声が小さすぎて何を言っているのかわかりませんでしたが、声はノイズを押しのけるようにだんだんはっきりとしてきたんです。

「・・ちに・・よ」
「こ・・ちに・・よ」
「こっちにおいでよ・・・」

息を止めたまま発せられたような女の人の声でした。金縛りにあって動かないはずの私の体が勝手に震え始めます。

「連れて行かれてたまるか!」
声も発することができないので、強く心で叫んでいるしかできなかったんです。その時私の手にある感触がありました。

ぺとっ、ぺとっ

何者かに突然手を掴まれたんです。そして「おいで・・・よ」と耳元で囁かれました。その瞬間に私は目の前が真っ暗になり気を失ってしまいました。

私が気づいたのは朝になってからでした。ぼーっとしているとプレハブを叩く母親の音が聞こえてきたんです。母親はいつも通りにインターフォンで呼び出そうとしたのですが、なぜか繋がらず仕方なく呼びにきたんだそうです。そのインターフォンを調べると壊れてしまっているようでした。

母親に目を覚まされドアに向かった時に私はまたあることに気付いたんです。金縛り中に触られていた手にはベトベトな臭い液体がついていたんです。ハンドソープで何回も洗いました。ですがその臭いはしばらく落ちることはありませんでした。

その後インターフォンを使う気になれず、不憫な生活を送ることになります。ですがその声が聞こえることは2度とありませんでした。夜寝ている時に電話がなると、今でも思い出して怖くなってしまう時があります。

これは後日談なのですが、あのプレハブの建てられた場所は私たちの家の鬼門の方角に当たるそうです。鬼門の方角というのはもともと例が集まりやすい方角だと言われているそうなんです。そしてインターフォンつまり電話はこの世とあの世をつなげるアイテムとも言われています。

たまたまあの日はあの世とつながってしまったのかもしれません。もしあの時の呼びかけに答えてしまっていたら、私は連れて行かれていたでしょう。それを確信させるほどあの体験は現実味の溢れるものでした。ちなみにあの体験をした日は新月の日だったそうです。

電話からの呼び出し音

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