【怖い話】お守りの呪縛

短編の怖い話



毎年夏のお盆になると、私の故郷の村では、古くからの風習として、特別なお守りを作り、家々に配られる。そのお守りは、村の外の厄災や災難から守ってくれるとされ、持っていないと家に不幸が訪れるという噂もあった。

私は、都会での仕事を理由に久しく故郷に帰省していなかったが、今年は久々に実家を訪れることに。夏の暑さと村の自然な香りが懐かしかった。しかし、何かおかしいと感じるものがあった。人々の顔色が悪く、村の雰囲気も重苦しかった。

夜、母にそのことを尋ねた。「実は、去年のお盆にお守りを作るのを忘れた家が何軒かあったんだ。」母は低い声で語った。「それ以後、その家々で次々と不幸が…」

私はその言葉に背筋が凍る思いをした。母に詳しく聞くと、お守りを受け取らなかった家の一つで、家族全員が突然行方不明になったという。また、別の家では、家中の鏡に歪んだ顔が映り、最終的に家族は狂気の淵に取り込まれたという。

その夜、私の部屋にもそのお守りが置かれていた。しかし、どういうわけか、私の手に取ると、お守りが細かく震え、その中から「助けて」というような小さな声が聞こえてきたように思えた。

恐ろしくなった私は、お守りを外の土の中に埋めることに。夜中に外へ出て、お守りを深く埋めた。安堵した私は部屋に戻り、安らかに眠った。

ところが、翌朝、目を覚ますと、私の枕元に、前日埋めたはずのお守りが置かれていた。更に、そのお守りの中からは、今度は数多くの声が「出して」と絶え間なく聞こえてきた。

驚いた私は家を飛び出し、村の古老に相談した。彼の言葉によれば、お守りはただの木片ではなく、数百年前の村の大災害で亡くなった村人たちの魂が宿っており、毎年、新しいお守りに魂を移しているという。そして、私が埋めたお守りは、その伝統を断ち切った結果、怒った魂たちが現れてしまったのだという。

古老は、私に一つの方法を教えてくれた。それは、この村から永遠に出て行かないこと。私は、その代償として村を出ることができなくなったが、お守りの怨念からは逃れることができた。

都会の生活を捨て、私は今、村で静かに暮らしている。しかし、毎年お盆になると、お守りの作業を手伝いながら、あの夜のことを思い出し、背筋が凍る思いをするのだった。



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