【漫画】着色料は虫から出来ていた!?【マンガでわかる】

【怖い話】歓楽街の鎌女

短編の怖い話



歓楽街の鎌女

不夜城とでも言うべきだろうか。
俺はS市の繁華街を歩いていた。
ここは、夜でもビルのネオンライトが光り輝いており、街中には、居酒屋の呼び込みや、風俗店のキャッチが多い。

ここで、ある都市伝説がある。
鎌を持った女の話だ。
彼女は、ホスト狂いの女で、何百万とホストに貢いでいたらしいが、ある日、そのホストに捨てられて、発狂してしまったらしい。身体を売って貢ぐ金を作っていたが、ホストに捨てられてから、借金だけが残って、女は狂い、そのホストに似た姿の男性を見かけると草刈り鎌で首を切って殺すらしい。そんな噂が、都市伝説として、この街で囁かれている。俺は駆け出しのライターとして、そのネタを調べに、この街の風俗街をリサーチしていた。

鎌を持った女の噂は、幾つものヴァリエーションがあるが。大体のキーワードとしては、ホストに捨てられて発狂した。捨てた男に似た容姿の男を鎌で裂いて殺す、というものだった。飲み屋で店員などに、その話を振ると、実際、ホストに貢いだせいで、自殺したり、中には刃傷沙汰になった事件も多いらしい。……そして、そういった事件がTVや新聞などに報道されたりするのは、ほんの一部なのだそうだ。
鎌を持った女の噂は、真実味を帯びている。
俺はそれをスクープにして、編集部に売り付けるつもりでいた。
上手くいけば、特集が組めるかもしれない。

「そういえば、俺の容姿は、その鎌女を裏切ったホストに似ているみたいなんだよなあ」
俺は慎重180センチの長身で、右耳にピアス穴があり、しょうゆ顔をしていた。しかるべきスーツを着ていたら、ホストや女衒の類に見られるだろう。これでも三十代後半に差し掛かっている。以前やっていた仕事は不動産だった。よくヤクザ関係者と間違われていた。それから、色々あって、フリー・ライターの仕事をする事になった。

「鎌女なんて、本当にいるのかねえ?」
俺はセブンスターのメンソールに火を点ける。
ニコチンが身体に染み渡っていく。

鎌女の噂はいくつもある。
キャバクラの店員に化けていて、裏切った男に似た人物を見かけると、鎌で裂き殺す、だとか。鎌ではなくて、実はサバイバル・ナイフであるとか。実は、シャブをやり過ぎて、発狂してしまっただとか。裏切った男は、他の事故でもう死んでいて、鎌女は復讐対象がいなくなったせいで、発狂してしまっただとか。

鎌女のエピソードだけで、充分に特集本は組める筈だ。

そう言えば、似たような都市伝説の類型は枚挙にいとまがない。
口裂け女。さっちゃん。かしまさん。ひきこさん。
都市伝説サイトを除けば、そのような名前が幾らでも検索で出てくる。
S市の鎌女、というのも、新しい都市伝説の類なのだろう。

俺は煙草を吸い終えると、路上に投げ捨てる。
俺はこのS市の東口の改札付近にいた。この時間帯は人が混雑している。もうじき、歓楽街に人は集まってくる。また、様々な飲み屋やバーにでも入って、情報を仕入れる事にした。

やがて、三時間程、経過した。
俺はあるバーにて、酔い潰れていた。
ツマミの飯も美味いし、何よりも酒が美味い。
俺は上質のブランデーを口にしながら、バーの中にあるアンティーク製の時計を眺めていた。まだ0時を過ぎていない。

「マスター。アブサン酒くれないか?」
俺はカウンターにいる、初老の男性に追加注文を行う。

「お客さん、大丈夫ですか? だいぶ、酔い潰れているみたいですが」
「いいんだよ。前の仕事を止めて、コネで別の仕事をやってみたはいいが、ドサ回りばかりだ。給料もよくねぇ。一本、特ダネでも手に入れば、編集長の俺を見る顔も変わるんだがねえ」
「お客さん、新聞記者さんかい?」
「そんな大層なものじゃねぇですよ。B級出版社の使いっ走りやってますわ。しこしこと、つまんねー記事を書いて、コンビニに並んでいるような下品な雑誌の手伝いしてますわ」
俺は出されたアブサン酒を一気飲みする。

「そういえば、お客さん。このS市のK街でどんな情報を探しているんですかい?」
「そりゃ、決まってるだろ。S市の鎌女の話だよ」
俺はマスターに、鎌女の都市伝説の話をした。
マスターはそれを興味深そうな顔で聞いていた。

「で、その鎌女に関する噂を聞いて回っているんですよ。どうやら、ホストの間でも有名らしくて、よく話題に出るそうですよ。世も末っすよねえ、都市伝説なんかが、この不夜城で一番、盛り上がる話になっているって」
俺は時計を見ながら、ソファーにもたれ掛かる。

「そういえば。お客さん、こんな話は聞いた事はありますか? 鎌女を振った、男の方の話です」
「どんな話ですか? 大体、男は失踪して消えた。鎌女に殺される前に別の事故で死んだ、って話はよく聞きますが」
「いやいや、鎌女に借金させて逃げた男は、整形手術を行い、未だにこの不夜城の何処かで別の仕事をしている、って話です」
「それは、初耳です。教えてください」
俺はさっそく、筆記用具とメモ帳を取り出して、マスターの話を聞いた。

「鎌女は、沢山、色々なホストや女衒を殺して回っているそうですよ。それが事実だから、ホストの間でも有名です。なんでもヤクザも彼女を追っているとか。警察も酷い猟奇事件なので、都市伝説という事にして、事件がTVや新聞のニュースで報道されないように、秘密裏に追っているとか」
「へえ」
「それで、鎌女を裏切った男なんですが。なんでも、整形手術を行って、老人に化けて、あるバーの店主をやっているそうです。経歴を隠してね」
「それは、初耳だ」
俺はふと気付く。
このバーのマスターは、俺と同じように身長が180センチもあった。
彼は右耳に幾つものピアス穴がある。
俺は息を飲んだ。

「でもまあ、男は鎌女から捕まる事は無いでしょうね。彼は逃げおおせた」
そう言うと、マスターはしばらく無言で、俺から背を向けてコップを拭いていた。

時計の音は、午前0時に差し掛かった。
 
バーの片隅で飲んでいた、こじんまりとした男性が突然、震えだした。
「やっぱり、あんただったか…………」
男は淀んだ声で呟く。

マスターは、その小男の方を向く。
小男は、自らの顔の皮をびりびり、と、破り始める。
破れた顔から、薬物による斑点だらけの女の顔が現れる。
「あんたが、私を裏切った男なんだろうっ!」
小男は立ち上がり、持っていたバッグの中から、ホーム・センターで売っているような草刈り鎌を取り出す。そして、バーのマスターへとつかみかかり……。
そして、マスターの顔を鎌で何度も、切り裂いていく。
マスターは絶叫し、泡を吹いて倒れた。
鎌を持った小男は、マスターの首を切り裂く。
室内に真っ赤な血が飛び散った。

「おかしいねえ。こいつじゃなかったのかねえ?」
そいつは、狂ったように笑い続けた。

俺は言葉を失って、その光景を眺めていた。
そう言えば聞いた事がある。鎌女は変装して、つねにターゲットを探しているとも。

「おや、あんたも、私を裏切った男に似ている」
口から涎を垂らしながら、男に変装していた女は、俺に近寄ってくる。
俺は動けずにいた。

俺の首筋に鎌が当てられる。
俺は自らの首から、大量の鮮血が吹きあがるのを最期に見た。

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