【怖い話】人形

短編の怖い話



町の外れにあるゴミ捨て場。それは子供たちの冒険の場所としても知られていた。そこで一人の少年・健太は、他のゴミと一緒に捨てられている女の子の人形を見つけた。その人形は長い黒髪に可愛らしいドレスを着ていて、とても綺麗なものだったので、健太は家に持ち帰ることに決めた。

「これ、どこで見つけたの?」と母親に尋ねられると、健太は「ゴミ捨て場で見つけたんだ!」と嬉しそうに答えた。

しかし、その夜から家の中で不可解な現象が起こり始めた。扉が勝手に開いたり、足音が響いたり。一番驚いたのは、健太の部屋の電気が点滅し、その中で人形が一人で立っていることだった。

両親はそれを不気味に思い、翌日、人形を再びゴミ捨て場へと持ち去った。

だが、その夜、健太の部屋のベッドの足元にその人形がまた座っていた。そして、その表情は前日とは異なり、鬼のように歪んでいた。怒りや悲しみを滲ませるその顔を見て、健太は恐怖で身体が硬直してしまった。

父親は人形を抱えて庭に出て、焼却しようとした。炎が人形を包み込む中、その人形の目からは涙のようなものが流れ、悲痛な叫び声が響き渡った。

翌日、家の中は以前の平和を取り戻していた。しかし、健太が学校から帰ってくると、家の玄関先に小さな手紙が落ちていた。

「私はただ、愛されることを求めていただけ。でも、もう大丈夫。ありがとう。」

手紙を読んだ健太は、その人形が持っていた孤独や痛みを感じ、涙が止まらなくなった。



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