【怖い話】呪われた絵画

短編の怖い話



昔から都市伝説として囁かれていた美術館の古い絵画。この絵画は、じっと見つめると微妙に変化すると言われていた。ある日、美術史家のハナコはこの都市伝説の真実を確かめるために美術館を訪れることになった。

絵画の前に立ったハナコは、描かれている風景や人物をじっと観察し始めた。初めは何も変わる気配がなかったが、数分後、彼女は驚愕した。絵画の中の小さな家の煙突から煙が立ち上るように見えた。さらに、絵の中の小道を歩いている子供が彼女の方を振り返り、微笑んだ。

彼女は都市伝説の真実を確認するために、さらに詳しく絵を観察し始めた。そして、彼女が気づいたことは、絵画の中の変化が自分の心の状態や考えに応じて変わることだった。彼女が嬉しいことを思うと、絵の中の風景は明るく、人々は笑顔を浮かべた。しかし、彼女が不安や恐怖を感じると、絵の中は暗くなり、雷雲が立ち込め、人々は恐れて逃げ出す姿が描かれた。

ハナコは、この絵画が所有者の心の状態を映し出す、まるで心の鏡のような存在だと気づいた。そして、彼女は美術館の館長にこのことを話した。

館長は、この絵画の前の所有者が、絵の中の変化に取り憑かれ、最後は絵の中に取り込まれてしまったという伝説を語った。ハナコは、この絵画が持つ呪われた力を封じるため、絵を密閉したガラスケースに入れ、一般の人々の目に触れないようにした。

しかし、ある晩、美術館の警備員が、絵の前で不可解な行動を取り始めた。彼は絵の中の風景に取り憑かれ、絵のガラスケースを壊し、絵の中に入り込むようにして消えてしまった。彼の行方はわからず、絵の前には壊れたガラスケースと彼の持っていた懐中電灯だけが残されていた。

この事件を受け、美術館は絵画を一般公開から外し、再び誰の目にも触れることがない場所に保管した。しかし、美術館の従業員たちは、夜、美術館の中で不可解な音や気配を感じるようになったという…。



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