【怖い話】蔵の中の秘密

短編の怖い話



幼い頃、私たちはよく祖父の家で夏休みを過ごしていた。祖父の家は古い木造の大きな家で、裏庭には大きな蔵があった。その蔵は年月の経過とともに老朽化してきており、中に入ることは禁止されていた。

ある日、私たち兄弟は退屈しのぎに蔵の扉の前で遊んでいた。すると、蔵の中から微かな子供の声が聞こえてきた。「こっちにおいで」という声が、繰り返し私たちの耳に届いた。好奇心から、私たちは蔵の扉をゆっくりと開けた。

薄暗い蔵の中には、古い家具や道具が並んでいた。奥へと進むにつれ、その子供の声が強くなっていった。声のする方向に目をやると、奥に小さな扉があり、それが少しだけ開いていた。私たちはその扉を開けることに決めた。

扉の奥には、狭くて低い空間が広がっていた。その中央には、小さな人形が座っていた。その人形は私たちに向かって手を伸ばし、「ありがとう、ここから出られる」と囁いた。驚いた私たちは蔵を急いで出た。

その夜、祖父の家では奇妙な出来事が続発した。家の中には聞いたこともない子供の笑い声が響き渡り、家具や食器が自動的に動いた。私たちは恐怖に震えながら、家族でリビングに集まった。

祖父が私たちに言った。「あの蔵の中には、昔、この地域で行方不明になった子供たちの魂が封じ込められていた。そして、あの人形はその子供たちの魂を束ねていたのだ。」私たちはその日、蔵の扉を開けてしまったことで、彼らの魂を解放してしまったのだった。

夜が更けるにつれ、家の中の異変はさらに酷くなった。どこからともなく冷たい風が吹き抜け、私たち一人一人が子供たちの怨念に取り憑かれていった。翌朝、私たちは何も覚えていないまま、祖父の家の庭で目を覚ました。

町の人々は私たちを助けようと試みたが、すでに遅かった。私たちの体は元のように動かなくなり、心は闇に覆われていった。祖父は涙を流しながら、再びその蔵を封印した。

しかし、私たちの魂はすでに蔵の中に閉じ込められてしまっていた。今も、その古い蔵の中で、私たちは次の犠牲者を待っている。



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