【怖い話】見えざる守護

短編の怖い話



小さな町に住む太一と恭平は、小さな頃からの親友だった。毎日のように公園で遊び、学校帰りには隣町のアイスクリーム屋で冷たいアイスを舐めながら将来の夢を語り合った。ふたりとも野球が好きで、小学校の時は同じチームでプレイし、中学ではエースとキャッチャーとしてチームを牽引していた。

しかし、高校に進学する直前の冬の日、恭平は交通事故で亡くなってしまう。太一は、彼との思い出を胸に涙を流し、日々を過ごすことになった。

数ヶ月後、太一は夢の中で恭平に再会する。始めはただの静かな光景であったが、夢の中の恭平は何かを伝えようとしているようだった。その言葉は、始めは遠くからのような不鮮明なものであったが、夜ごとに夢を見るたびに声ははっきりとしてきた。

ある雨の日、太一は放課後のクラブ活動が終わり、急ぎ足で家路に向かう。いつものように、彼の頭にはあの夢、そして恭平の言葉が浮かんでいた。

太一が通学路の交差点に差し掛かった瞬間、突如として恭平の声が頭の中で響き渡った。「止まれ!」

太一は急停止。その直後、制限速度を大幅に超えたスピードで走ってくる車が、彼の目の前を横切った。太一はその場にしゃがみ込み、呆然としていた。あの瞬間、もし彼が恭平の声に従わなかったら…その考えだけで身体が震えた。

恭平は、この世を去ったあとも、親友の太一を見守り、守り続けているのかもしれない。太一は涙を拭い、再び家路についた。彼は深く感謝し、今は見えない親友との絆を胸に秘めながら、前を向いて歩いていった。



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