【怖い話】鳥葬

短編の怖い話



地元での噂なのだが、この神社の頂上では、奇妙な風習が残されているという。
私は友人三名を誘って、ある特別な神様を祀っている神社に訪れた。

そう私達が聞かされた噂によると、この地では、奇妙な風習が伝わっている。
いわく、神様に奉げモノをしなければならないのだと。
そして、その奉げモノは、新鮮な血と肉でなければならないのだと。

そして、その神社が祀っている神様とは“鳥”だ。
詳しくは分からない。

ちなみに、神社の頂上は何故か、立ち入り禁止の区域になっていた。

そもそも、此処で何を祀っているのだろうか。
私と友人達はとても気になっていた。

学校の帰り道、私達三名はその神社の近くに寄る事になった。
神社の入り口は、狛犬の代わりに何故か、二体の石像があった。

「明美。怖がりだもんね?」
そういう理沙は、とても無邪気だった。
「一緒に神社の奥に行ってみようよ」
私はそう言った。

その神社は鳥が多かった。
参拝場所には鳩の群れが沢山いて、参拝にきた者達が餌をやっている。
神社の山奥には、鴉や梟といったものが多く生息していて、鳴き声が聞こえた。境内の先に階段があり、その先には橋がある。そして、そこから先には立ち入り禁止区域の場所があった。

「私が先に行こうか?」
理沙は言う。
彼女は学生鞄の中に入っていた袋に入ったパンを取り出して、千切っては、鳩の群れの中に落としていた。

理沙は少し大胆な性格をしていた。
真っ先に、境内の外れにある階段を登っていった。

「どうしよう? 理沙、行っちゃったよ?」
明美が困った顔になる。
「立ち入り禁止って言われた場所だから、行かない方がいいんじゃないかなあ?」
「うん、そうだよね……」
私も明美と同じように、少し嫌な予感がしていた。
以前、私もこの神社の境内の外れにある階段を登り、橋を渡った。
そして、立ち入り禁止の看板を見つけた。
当時は小学生だったと思う。
私は怖くなって、すぐにそこから戻った。
何か人間が入り込んではならない、禁忌の場所。
そのような印象を受けるのだ。

とにかく、理沙を追い掛けなければならないと思った。
私は怖がる明美と一緒に、理沙を呼び戻す事に決めた。

階段を登り、橋まで辿り着く。
橋の下は滝の水が流れていた。

「おーい、二人共、先に進んでいるよ。私はこっちこっちっ!」
理沙の声が聞こえた。
彼女は、どうやら立ち入り禁止の場所にいるみたいだった。

「どうする? 深雪?」
私は明美から訊ねられる。
「どうするって……。理沙を呼び戻すしかないじゃない。それに、立ち入り禁止なのは神聖な場所っていうか、単に危ない斜面があるとか危険な動物が徘徊しているからかもしれないし……」
私は今すぐにでも帰りたかった。
何か、この先には、とても嫌なものが存在する。
そんな気分でいっぱいだった。

立ち入り禁止の看板とロープが付けられている先から、理沙の声が聞こえてくる。
ざわざわっ、と、木の葉が戦慄く。
何か、鳥が飛んでいた。

「なんか、本当にやばいよ」
私はぽつりと、呟く。
「私、先に帰るね」
明美はそう言うと、走って来た道を戻っていった。
私は理沙を探す為に先に進む事にした。立ち入り禁止と書かれた看板が置かれている場所のロープをまたぐ。
しばらく歩いていくと、山道だった。
傾斜面が多く、崖もあった。
途中、朽ちた丸太で出来た階段があり、何度か踏み外しそうになった。
立ち入り禁止地区になっているのは、やはり単純に危ないからかもしれない。私は理沙の姿を探す。そうしていくうちに、夕日が落ちていく。
数十分くらい、山道を登った頃だろうか。
鳥の鳴き声が多くなってきた。

辺りを見渡すと、街を景色が一望出来た。
理沙の後姿のようなものを見かけた。
彼女は高台のような場所にいた。

「よかった。こんな処にいたんだね。明美が心配していたよ、帰ろう」
私は彼女に声をかける。

彼女は黙ったまま、何かを見ていたみたいだった。

「ねえ。深雪、この神社、一体、何を祀っているんだっけ? 何の神様?」
「うん? 確か鳥だった気がする」
「あれ、なんだと思う?」
理沙は訊ねる。
彼女は高台から、何かを見下ろしていた。
私も彼女の隣に立って、下に広がっている森を見下ろす。

それは石で出来た祭壇のように見えた。
そこで、人間が横たわっている。
女の人だ。

白に上着に赤い袴の巫女服のようなものを身に付けていた。
その女の人を、沢山の鳥達が、クチバシで突いていた。
見ると、女の人の右目の眼球は空洞だった。真っ黒な孔が開いている。
そして、女の人の着衣は乱れて、腹の辺りが露出している。
腹からは腸などの臓物が、溢れ出している。
腸が伸びて、すぐ傍の木に絡まっていた。

どうやら、女の人は未だ生きているみたいだった。
そして、口から何やら呪文のようなものを唱えている。
鳥達が、女の人の身体を貪り喰っているのだ。
私は血の涎を垂らした女の人と、眼が合った。
まるで、身体を生きながら喰われているその女は、私を誘っているみたいだった。

私は悲鳴を上げていた。
それと、対照的に、理沙は笑っていた。
彼女も、何か私には理解出来ない呪文のようなものを唱えていた。

そしてあろうことか、理沙は斜面を降りて、鳥に生きながら喰われている女の人の下へと向かっていった。私は余りにも恐怖に、元来た道を走って逃げた。
何度も、階段で転びそうになった。
気付けば、夕日が落ちて、辺りが暗闇に包まれていた。
それから、私は半ば記憶を失って、気付けば自宅の玄関にいた。

 
…………、数日後の事だった。
理沙が制服姿のまま、死体で見つかった。

学校の校庭だった。
第一発見者は、陸上部員だったという。
理沙の死体は全身を食い千切られていたのだという。眼球や鼻や指や内臓などが所々、欠損していたという。そして、奇妙な事に彼女は笑い顔のまま死んでいたのだと。

あの神社は鳥の神様を祀っているらしいが、私は詳しくは知らない。知りたくもない。あの事件があって、明美はしばらくの間、不登校になった。
神社の頂上で見た、あの女の人が何だったのか分からない。神主を含めて、あの神社の奥で何が行われているのか、誰も答えてくれなかった。

近々、バイトで神社の巫女さんを募集するらしい。
時給は、とても高額みたいだった……。

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