【怖い話】霊感少女の友人

実話の怖い話



高校の頃の友人の話をしようと思う。

私の友達に自称・霊感を持っているという女の子がいた。
仮に玲子(れいこ)と呼んでおこうか。
彼女は周りの級友達からもかなりの変人扱いされていた。それはそうだろう、学校では奇抜な行動が多かったからだ。

玲子は所謂、不思議系と呼ばれるようなタイプの子だった。
彼女は学校に大量のぬいぐるみを持って、ぬいぐるみに話し掛けていたり、屋上で青空を見ながら、一人、クスクスと笑っていたりした。幽霊が視える、と言っていたが、どうやら、幽霊以外のものも見えるらしい。別の県で大きな地震が起きる前に呟いた“大きく壊れる”と呟いた奇妙な予知だとか、“親戚が重い病を抱えて入院しているんだね”といった玲子が知る筈の無いクラスメイトのプライベートの事などを、何故か言い当てたりした。

単なる不思議ちゃん、というだけでは言い表せないような理解出来ない何かを確かに玲子は持っていたのだ。

みな玲子の事は疎ましく思っていたのだけれども、玲子はイジメのターゲットなどにはされなかった。それはきっと彼女が美少女だから、というのが大きいのだろう。そして、何処か抜けているように見えて愛嬌があったのだと思う。疎ましいけれども、憎めない。そんな何とも言えない扱いを受けていた。
女子のグループは、みんな玲子と仲良くなろうとするのだが、話しているうちに奇妙な会話の噛み合わなさに襲われて、彼女と話が続かないのだと言う。ただ、私だけは不思議と玲子の夢見るような不思議な話に付いていく事が出来た。きっと、私は頻繁に図書館に行くような文学少女だったからだろう。

ある日の事だった。
玲子が風邪で熱を出して休んでいるので、私はクラスの担任から彼女の家にプリントを届けるように言われた。それで私は彼女の家へと向かったのだった。その際に、担任から彼女の家の住所が書かれた地図を渡された。

バスで向かって、何処となく寂れた住宅街へと辿り着いた。この辺りは来た事が無い。私は地図に沿って、彼女の家へと辿り着く。確かに彼女の名字が書かれた家の玄関に辿り着く。

そこは少し大きな庭のある家だった。
和風の家、といった風情だった。
裏庭には何か動物が飼われているみたいだった。

私は玄関のインターフォンを押す。
しばらくして、パジャマ姿の玲子が現れた。

「昨日、沢山の気配に当てられて……。それで身体が動かなくなって寝ていたんだ」
相変わらず、奇妙な事を言った。

「上がっていきなよ。お菓子あるから」
私は玲子に言われて、彼女の家の中へと上がる。

茶の間だった。
結構、高そうな掛け軸や壺などが飾られている。けれど、それよりも私が気になったのは、部屋の四隅に貼られた大量の御札だった。四隅に何枚も何枚も貼られている。

「玲子……。そういえば、玲子の家って大きいね」
「うん。そうだね、私の家の話をした事無いね。私の家は“くくりのうわばみ様”を信じているから」
何を言っているのだろう。
私はお茶を飲みながら首をひねる。

「それ何? また玲子、おかしな事、言っている……?」
「おかしな事? 分からない。みんな私と違った世界が見えるみたいだから……。私に見える世界とみなに見える世界が違うんだって知ってる。でも、うわばみ様は私が視えるものじゃなくて、私の父さん、母さんが信じているもの」
うわばみ様、と言ったか。
うわばみ……確か、大きな蛇の事だ。

私は小説を多く読んでいたせいか、玲子のよく分からない話にも何となく付いていく事が出来た。実際、私自身、半分空想の世界で生きていたのかもしれない。クラスメイトとの気だるい会話、ストレスばかりの受験戦争。そしてやっと入れた希望の高校生活にも馴染めなかった。

「ねえ、玲子。この部屋に来る途中に寝室があったじゃない。そこに飾られていたもの、一体、何なの?」
私は訊ねてみた。

「寝室?」
玲子は首をひねる。
まるで彼女は自分は何も知らない、といったような口調だった。けれども、私はこの部屋に来る途中に見掛けた寝室だと思われる部屋の中にあったものを忘れられない。

障子が開けっぱなしにされており、布団と毛布が乱雑に置かれている部屋だった。
明らかに誰かが掛け布団に覆われて横たわっていた。
そして、そこには奇妙な祭壇のようなものがあった。
仏壇、のようにようにも見えたが、祭壇、と言った方が適切なような気がする。

そこには奇妙な人形などが飾られていた。布で作られた変な白い人形や、まだら模様に全身を彩色された人形。手足が複数ある人形もあった。祭壇には神社の注連縄みたいなのも巻かれていたが、巻き方が奇妙だった。御神酒らしきものも飾られていた。

更に部屋の壁や天井には、何か経文のようなものが描かれていた。ひらがなではなく、漢字ばかりなのでもしかすると中国語なのかもしれない。

不気味で意味が分からない、としか言いようがなかった。

「玲子…………あれ、何?」
「さあ?」
彼女はくすくすと笑うだけだった。

「ああ、そうだ」
玲子は私の名前を呼んだ。

「貴方の後ろ、山の妖精さんが憑いている。この途中にある山道で魅入られたんだね。すぐに妖精さんに離れるように頼まないと、貴方のお母さんの耳を取っていっちゃう」
「何を言って…………」
玲子はいつものように、くすくすと笑っていた。

「それから、他にもクラスメイトの彩ちゃん。彼女の足に、ケタケタさんが取り憑いている。マンホールを通る時は気を付けて、ケタケタさんは水の底で溺れ死んで魔物に生まれ変わった人らしいから」
彼女の言っている事は、まるで意味が分からなかった…………。

「じゃ、じゃあ、玲子、プリント、此処に置いておくねっ!」
私はそう言って、玲子の隣に担任から貰ったプリントを置くと、すぐに帰る事にした。もう彼女の話を聞くのはウンザリしていたし、…………、それに正直、とても怖かった。

「あ、そうだ。××ちゃん、私、お父さんとお母さんがしばらく家を出るな、って言ってくるの。だから、しばらく学校に行けない。先生にもそう伝えておいて」
そう後ろから聞こえた。
私は分かった、とだけ言葉を返したと思う。

私は殆ど逃げる形で、玲子の家を出た。
帰る途中、玄関から裏庭がよく見えた。
何かが、甘く、そして腐っているような臭いがした。何故か、甘い桃の臭いがした。桃なんて何処にも無い筈なのに。もしかすると、アロマか何かかもしれないが、不気味で仕方無かった。庭には畑があった。……何か物凄く嫌な感じがした。何を植えているのだろうか?

それから、しばらくの間、玲子は学校に来なかった。
気味の悪い事に、私の母親はスーパーの帰り道で自転車を運転していると、車に衝突されて自転車から転がり落ちて右耳を強く打ち付けた。その際に鼓膜が破れて一ヶ月の怪我を負った。……ひき逃げされて、犯人は捕まらなかった。

クラスメイトの彩ちゃんも、大雨の日に、坂道で転んだ時に打ちどころが悪くて酷い捻挫をしたみたいだった。

玲子は……私の視えないものが、視えていたらしい……。

それから、玲子は転校する事になったらしい。
かなり遠くの高校らしかった。転入手続きはもう済んでいるみたいだった。彼女は親戚の家に移って、そこから別の高校に通うみたいだった。

玲子が転校してから、一年、二年が経って、私の耳に玲子の家庭の話が入ってきた。
どうやら、玲子の両親は世間で忌み嫌われている、あるカルト宗教の熱心な信者だったらしい。そのカルト宗教では、霊感などの開発も行っているとの事だった。
それから、引っ越しの後、家が空き家になって、近隣住民が玲子の住んでいた家から異臭がすると市に訴えた処、裏庭の畑があった場所から、大量の猫の死体が埋まっていたらしい。家の中には家具など殆どが無くなっていたが、壁や床、天井にはびっしりと経文のようなものが描かれていたとの事だった。

玲子の持っている霊感とは一体、何だったのだろうか。
もしかすると、彼女は信仰宗教によって心を病んだ少女だったのかもしれない。それでも、それだけでは説明し切れない事を玲子はやった。

あれから、十年以上経つが、玲子の行方は分からない。
ただ、今でも私は玲子の不思議な笑いを忘れられない……。



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1 個のコメント

  • 霊感少女の友人、拝読しました。
    霊感や予言って『呪い』なんでしょうかね?
    新興宗教もなにやらえげつないことをしてるので、不気味なエピソードだと感じました。

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