【怖い話】電話ボックスの女

短編の怖い話



私の通っている高校の近くに小さな神社があるんですが、その神社前の横断歩道横に電話ボックスがあるんです。
今の時代、みんなスマホや携帯を持っているから電話ボックスを利用する人は少ないんじゃないかなと思っていたのですが、意外にクラスメイトが電話の着信履歴を残したくないときに使っていると聞いてびっくり。
私は使うことがはなかったのですが、噂では援交してる子なんかがよく使っているっていう話も聞いたことがありました。

この電話ボックスのある横断歩道、学校近くということと主要道路になっていることから昔から交通事故が多い場所なんですよね。
そんなこともあってか、小学生のころくらいからこの交差点や電話ボックス、神社などでの怪奇現象の話を夏になるとよく聞いていました。
一番ありがちなのはやっぱり交差点で交通事故に遭って亡くなった人の話で、自分をひいた車や犯人を捜して彷徨っているというもので、神社から化け物が出てくるなんて突拍子もない話を聞いたこともあります。
でもつい最近、嘘だと思っていた電話ボックスの幽霊を自分が見ることになるとは思いませんでした……。

あれは6月後半の月曜日のことでした。
実はその前日、友人のA子とクラスメイトのB、Cとで肝試しに行ったんですよね。
午前0時前に学校近くの神社前に集合して、0時きっかりに神社内に入ってあちこち散策してたんですが、このときは何も見なかったし怪現象も起きなかったんです。
帰宅してからも全員特に変わったことがなくて、幽霊が出るっていうの嘘だったんだろうってLINEで話してたんですよね。

そして月曜の朝、眠っている時に何だか気持ち悪い夢を見たような気はしたんですが内容を思出せず、物凄く体がだるくてちょっと胸がむかむかしている状態でした。
自転車での通学だったんですが、ペダルをこぐのもだるいくらいで、足首を誰かに掴まれているような感覚があったのを覚えています。
幽霊が出るという電話ボックス前の横断歩道で、ボーっとしすぎて信号が赤に変わったのに気付かず、飛び出しそうになって側にいた人に引き留められたほど。
何とか学校についたものの、授業中は体調が悪すぎて居眠りしてしまうし、胸のムカつきがひどくてもう勉強どころじゃありませんでした。
そして体調が悪くて神経過敏になっていたのか、居眠り中誰かに肩を叩かれたり、体を揺さぶられているような感覚があったのですが、周囲を見回してもそんなことをする人がいなかったんですよね。
ふと視線を感じて周囲を見回しても、自分のこと見てる人いなかったり、そもそも誰もいるはずのない窓や壁の方だったり……。
結局3時間目が終わったときに、吐き気まで出てきて熱っぽくなってしまったので早退することにしたんです。

普通に歩いていてもふらつく状態だったので、自転車は学校に置いたまま親に迎えに来てもらおうと思って校門でスマホで自宅に電話しようとしたら、自宅を出るときに一杯だったバッテリーがなぜか切れてしまっていて、仕方なく神社前の電話ボックスから電話をかけることにしたんです。
だるいしふらつくしでとてもしんどかったのですが、とぼとぼと歩いて電話ボックスまでたどり着いたのですが……。
この日はかなり暖かかったのですが、トレンチコートを着込んでいるロングヘアの女性が中にいて電話をかけていたのです。
すぐ終わるかなぁと、様子を見ていたのですが女性は時々電話やガラスをガンガン物凄い勢いで叩いていたんですよね。
ヤバイ人なのかなぁと思って、電話諦めて徒歩で帰ろうかと思った瞬間、その女性がこっちを見たんです。
両目が真っ赤に充血していて、マスクをしていたのですがマスクの口元が赤く血が滲んで、トレンチコートの正面もところどころ血のような赤いシミが……。
女性は私に気付くと受話器をその場に投げ捨てるような感じで手放し、電話ボックスから出てきて私の方に歩いてきたんです。
何だかヤバイ、逃げなきゃと思ったのですが体が動かず女性が目の前に来た時にふっ……と意識が遠のいてしまいました。

目が覚めたときは病院のベッドの上で、心配そうにお母さんが私の様子を見ていましたが、意識がはっきりしているのを確認して泣かれてしまいました。
お母さんに聞いた話だと、私が倒れているのを神社の神主さんが発見して救急車を呼んでくれたそうです。
このとき熱が40度近くあったのですが検査をしてもこれといった確定的な原因がわからず、数日検査もかねて入院することに。

翌日A子がお見舞いにきてくれました。
A子に聞いた話だと、私が見た女性は噂になっている電話ボックスの幽霊じゃないかというのです。
その女性の幽霊ですが、噂だと男性との別れ話がこじれて電話ボックス前で付き合っていた男性に車で轢かれたのだとか……。
このとき車のスピードがそれほど出ていなかったので、ケガは大したことがなく、男性に電話ボックスから電話をかけうらみつらみの言葉を残したそうです。
そして電話が終わると同時に、走ってきたトラックに飛び込んで自殺してしまったと。

でもなぜ私がそんな幽霊を見たんだろうととても不思議だったのですが、このときになってA子が肝試し帰りに私の後ろに黒い影がいたのを見たと。
もしかしたらそれが女性の幽霊だったのか、それとも別の幽霊で女性の幽霊を引き付けたのではないかというのです。

入院3日目に救急車を呼んでくれた神主さんがお見舞いにきてくれたのですが、お祓いをすすめられました。
神主さんの話だとA子が言っていたように私に何かついていたようで、それが原因で体調不良や幽霊をみたのだろうと。
お見舞いのときに簡易的なお祓いのようなものをしてもらったおかげなのか、原因は不明のまま熱などの症状が治まってきたので入院5日で退院、両親にも言われてお祓いをしました。
お祓いの効果があったのか、それ以降体調が悪くなることもなく誰かの視線を感じたり、体を掴まれているような感覚もなくなりました。



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