【怖い話】時計の呪い

短編の怖い話



かつて、ある古い家に、大きな壁掛け時計がありました。この時計は、不吉なことに毎夜、正確な時間を刻まなくなるのです。

その家に新たな住人が引っ越してきました。名前は田中さん。一人で静かな生活を求めていた彼は、この古い家の静けさに引かれました。

田中さんが引っ越してきてから、家の中で奇妙なことが起こり始めました。壁掛け時計の針が、毎晩0時になると勝手に動き出し、逆回転を始めるのです。

家の前の住人から聞いた話によると、その時計は昔、ある時計職人が作ったもので、彼の亡くなった恋人を思い出すために特別な仕掛けがされていたというのです。

田中さんは、時計の針が逆回転するのを見て、不思議に思いました。そして、その現象を解明するために調査を始めることにしました。

ある晩、時計が0時に逆回転を始めた瞬間、田中さんは家の中で奇妙な現象が起こるのを目の当たりにしました。家の中の時間が、まるで過去に戻るかのように変わっていくのです。

田中さんは、この不気味な家から逃げ出そうとしましたが、外に出ると、何故かまた家の中に戻ってしまうのです。彼は時間のループに囚われていた。

時間のループが続く中、田中さんは恐ろしい現象に気づきました。毎晩0時になると、ベッドの下から黒く長い髪の毛が這い出してくるのです。最初はそれが何なのか理解できず、ただ恐怖に震えていました。

ループするたびに、その髪の毛はより長く、より濃く、そして明らかになっていきました。部屋から逃れようとするたびに、その髪は彼の足元を這い回り、まるで彼を何処かへ引きずり込もうとしているかのようでした。

そして、数え切れないほどのループを経た時、田中さんは最も恐ろしい光景に直面しました。部屋の隅に、身長が2メートルはあろうかという、赤いワンピースを着た女性の姿が現れたのです。彼女の髪は床を這い、その顔は恐ろしいほど白く、その目は虚空を見つめていました。そして、田中さんに気づくと、彼女はにたりと不気味な笑みを浮かべながら、ゆっくりと彼に近づき始めた・・・

その時計の呪いとは一体何なのか、そしてその長い髪の女性の正体は? それらの真実は今もなお、時間の闇の中に隠されたままです。



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