【怖い話】幼馴染の話

短編の怖い話



幼馴染Aの話。
うちの近所にある市営住宅に住んでいたAとは、小さい頃はよく一緒に遊んだ。
Aは5人兄弟の母子家庭の長男で、いつも弟と妹を連れて公園に遊びにきていた。
俺は自分が末っ子だったので、弟や妹を連れているAが羨ましかった。
俺はアホだったので、Aに「お父さんどこにいるの?」と聞いてしまったことがある
その時Aは怒ったように「お父さんはガイコウカンでガイコクにいる」と答えて
俺はやっぱりアホだったので「ガイコウカンってカッケー」と思った。
家に帰って「Aのお父さんガイコウカンなんだって」と兄に言うと
「あんなボロい市営住宅の団地に住む外交官なんているわけないだろ」と笑われた。
あれは、小学生なりに必死で考えた嘘だったんだろう。
そんなAは小学校の高学年くらいから中学生(悪い系とか)とつるみだして、
徐々に俺とは距離があいて、中学では顔を見ても話もしなくって
そのうち学校にも来なくなり、いつのまにか俺の生活圏内から消えていた。
ただ、弟たちは学校にいたので、引越しはしていなかったので、家出でもしたんだろうと思っていた。
そんなAが偶然、俺がバイトする焼肉屋に職場の人(建築関係っぽい)とやってきて思わぬ再会となった。
腕や首の後ろに刺青があり、さらにDQN度がアップしていたAは、最初は斜に構えていたが、
俺が大学にいってるけど父親とは縁が切れて三つのバイトを掛け持ちして生活費を稼いでいることや
兄が死んだことなんかを告げると、ちょっと表情がかわって「今度のみに行こう」と誘われた。

数日後Aと飲みにいったが、お互い何となく近況は聞きづらく、無難に近所のダレソレがどこの大学にいっただの
そういう話をしていると、Aの携帯に着信があったが、Aはチラッと見てスルーした。
「出ないの?」と聞くと「前のオンナでウゼーから無視してんの」と答えた。
その後、酒がすすむにしたがって前のオンナが妊娠しやすいオンナで二度も中絶した、とか
三度目は中絶させられないように堕胎できない週数までわざと教えない酷い女だ、とか
結婚迫られたけど、俺の子かどうかわからないだろ、って言ったら包丁持ち出して修羅場になった、とか
オンナがアホだったから、生まれた時に赤ちゃんの首に臍の緒が巻き付いてて
結局生まれる前に死んで死産だった、生まれる前に首つって死ぬとか、親孝行な子どもだろ、とか
胸糞悪い話を笑いながらして、俺も我慢できなくなって席を立った。
それから半年ほどして、実家に法事でかえった時
母親からAが俺と飲みに行った後しばらくして、自宅で首を吊って自殺をした、と聞いた。
偶然かもしれないけど、ちょっと因縁的なものを感じてしまう。



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