【怖い話】お狐様の郷

短編の怖い話



俺がまだ小学校に上がる前の話。
その頃、ちょっと家庭の事情があって、俺と両親は親父方の祖父母の家に部屋借りて住んでた。
最近になってこれから話す、祖父母と住んでいたときに体験したことを何となく思い出して、親に詳細聞いてみたんだ。

祖父母が棲んでいたのは、今はもう過疎村になっているような小さな村で、みんな農業やら林業でのんびり暮らしてた。
んで村に小さな子どもって数人しかいなくて、俺が村で最年少だった。
村は共働きの家ばかりだったから、必然的に最年長者や年上の連中が、小さな子どもの面倒も見て、一緒に遊んでたんだよね。
でも俺って幼稚園のころに祖父母の家に引っ越したもんで、子どもの間でちょっと仲間外れにされてた部分あったんだ。

その日はちょうど村のお稲荷さんのお祭り前日なのもあって、大人は仕事とお祭りの準備で大忙しだった。
子どもの面倒見るのが大変だからと、子どもは子どもで集まって遊んでろっていう感じで、俺も自分ちじゃなく村の子どもたちと一緒に遊ぶことになってたんだ。
でもね、この村の子束ねてる最年長者のEって奴、確か当時小学校4年生くらいだったと思うんだけど、無茶苦茶性格悪くてね。
親の前だとハイハイ聞き分けの言い奴なんだけど、親や大人がいないとこじゃやりたい放題やってるような奴でさ。
このときもうちのばーちゃんに俺の面倒頼まれて、そのときはニコニコしてたのに、子どもだけになったら態度コロッと変えて、俺についてくんなとか言ってくんの。
Eの手下になってる奴も一緒になって俺のこと、叩いたりしてどこか行かせようとしてたんだけど、俺と年の近かったCが俺のことかばったら一緒にハブられそうになってさ。

んでなんだかんだで、村の近くにある林道から横道入って、澤まできたときに、Eたちが忘れ物取りに行くからここで待ってろとか言い出して。
馬鹿正直に俺とC、2人だけ残ってそこで待ってたんだけど、ずーっと待っててもE達が戻ってくる気配もなくて。
どれくらい時間たったんだろうなぁ。
朝から快晴だったのに、急に黒い雨雲が見えだしたと思ったら雷が鳴りだして、Cと2人で帰ろうって歩き出したんだ。
雨降ってきたら澤から離れろって、じーちゃんたちにうるさいくらい言われてたからね。

んで2人で来た道戻り始めたんだけど……横道って獣道になっててものすごくわかりにくくて、俺とC道に迷ったらしく、村に続く道になかなか出れなくて。
そのうちCが不安がって泣き出して、俺も泣きそうなの我慢して励ましながら歩いてたんだ。
そしたら、ふっ……と一瞬だけ明るい光見えたような気がして、目の前に開けた場所が現れたんだよね。
「こんな場所あったっけ?」
Cと2人で今までこんな場所来たことないって話してたら、近くで子どもの声が聞こえたんで、そっちに行ってみたら、古臭い着物着た子どもが5人、全員男の子だったんだけど楽しそうに遊んでるんだよ。
「おやぁ?これは珍しいね。お客さんだよ」
子どもたちからちょっと離れた場所に、狐のお面つけた細っこい体の男の人がいて俺らのこと見てた。
俺なんかヤバイな、と思って逃げようかとCの手握って走り出そうとしたんだけど、Cの体びくともしないの。
子どもたちが集まってきて、どこから来たとか色々話しかけられてCが安心したのかあれこれ話してたの黙って聞いてたんだよね。

俺も色々聞かれたんだけど、なんかやばそうと思って名前だけ答えたんだ。
ただCは名前から住んでる場所、家族のこととか聞かれたこと全部答えてた。
んで狐のお面の人が俺とCに飴玉くれたんだけど、見たこともない虹色の飴で綺麗過ぎて食べるの勿体ないなと思って、俺はズボンのポケットに入れたんだよね。
帰ってからお袋とかばーちゃんに見せようと思ってさ。
でもCは受け取ってすぐに飴玉食べたんだ。
食べてからCの様子がおかしいってことはなかったんだけど、さっきまで帰れなくて大泣きしてたのが、すっかり泣き止んで子どもたちと遊んでてさ。
不思議とその場所は雨雲がなくなって晴れてたけど、俺はすぐ帰りたいと思ってたからCに帰ろうって言ったんだ。
そしたら……。
「どうして?ずっとここにいればいいよ」
ニコニコしてた子どもたちが、急に真顔になって俺に言い出してさ。
全員だよ?
そしてCも……。
「帰ったらまたいじめられるから、ここにいる」
そう言いだしてさ。
なんかおかしい、って小さいながらに思ったんだけど、怖い方が勝っちゃって俺Cを置いて逃げ出したんだよね。
そしたら子どもたちが俺のこと追いかけてきて、必死で走って開けた場所抜けて獣道走ってたら足滑らせてかなり下まで落ちる途中で気を失った。

目が覚めたら、俺布団に寝かされてたんだけど、体中あちこち痛いし熱っぽくってだるくて起き上がれなかった。
俺が目を覚ましたらばーちゃんとお袋が大泣きしてさ。
俺、どうやら沢から戻る途中で、足滑らせて落ちたらしいんだ。
大雨降ってきても俺が返ってこなくて、ばーちゃんがEを問い詰めて澤に置いてきたって聞いて大慌てで探しにいったそうだ。
で俺の姿はあったけど、Cはいなかったらしい。
Cが持っていた鞄はあったらしいんだけど、姿が見つからないって。
2~3日で熱下がって、Cの親とばーちゃんやオヤジ達に聞かれたから、Cのことやら開けた場所でのこと話したらCのおふくろが泣き出した。

結局、Cは戻ってこなかった。
後で聞いた話だと、俺らと別れた後にE達が村でお祀りしていたお稲荷さんに悪戯したらしく、それで怒って連れて行ったんじゃないかって……。
狐のお面の人は人の姿したお稲荷様で、開けた場所から先はお狐様の作った郷だという話で、過去にもお狐様怒らせて子どもが行方不明になった、って話があったそうだ。
飴玉食べてたら俺もあそこから帰れなかったかもしれないって言われた。
子どもたちはたぶん、今までお狐様に連れていかれた子どもだろうって聞いて、自分のせいでCが帰ってこれなくなった、って当時物凄い泣いていたの覚えてる。
お稲荷様に悪戯した連中だけど、オヤジに聞いた話だとEは家で不幸が続いて事故にあって半身不随、一緒になって悪戯したEの取り巻き連中も、後遺症が残る怪我や病気になって、生活が大変らしいよ。
祟りって本当にあるんだな。



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