【怖い話】旧校舎の幽霊

短編の怖い話



自分が小学校のころの話です。

当時はど田舎に住んでいて、小学校に入学したときはすでに綺麗な今風の新校舎だったんだけど、敷地内に木造の旧校舎の一部が残ってたんだよね。
基本的に生徒は立ち入り禁止だったんだけど、運動会の道具とか学校行事で使うような道具をしまうのに使っていたので、そういうイベントの準備とか後片付けで入ることはあったんだ。
普段使っていないのと古い木造だったこと、新校舎の裏手にあったってこともあって、昼間でも暗い雰囲気だったから自然と幽霊が出る、幽霊を見たっていう噂は流れてきたんだよね。
ただやっぱり、自分が見たっていうんじゃなく、おじいちゃんにきいたとか、○○ちゃんの友だちが、っていうパターンばっかりだったので噂レベルで終わってたし、生徒に幽霊が出るのか聞かれた先生は、完全否定してた。

それで確か自分が4年生か5年生のときに夏休み中に隣のクラスと合同で、学校に泊まるっていうクラス行事があったんだ。
友達と一緒にお泊りだけでも嬉しいのに、学校に泊まるってことで凄いテンション上がってたの覚えてる。
人数もそれなりにいたし、食事の準備なんかもあったから親も宿泊だったけど、昼間のドッジボールとかの遊びは親子一緒に楽しんでた。
晩ご飯の保護者の作ったカレー食べてたときに、同じクラスのAとBと話してて、こんな機会滅多にないから旧校舎に肝試しに行こうって話になったんだよね。
でも懐中電灯持ってないってことに気づいてツッコミいれたら、なぜかBがペン型の小さなライト持ってた。
Bは肝試しあるんだろうと思ってたらしくて、事前に準備してたんだって。
夕飯後しばらくは親や先生たちが食事の片付けや、花火の準備しなきゃで子ども側は自由時間になってたんで、3人で先生や親に見つからないようにこっそり新校舎から出て、裏手に回った。

新校舎出てすぐは、グラウンド照らしてる灯とか、教室の灯でライトなしでもよかったんだけど、旧校舎のある裏に回ったら皆のいる体育館や教室から離れてるのもあって、月明かりだけしか明かりがない薄暗い状態。
旧校舎の入り口に着いたときには、何ともいえない不気味さがあってAもBもしばらく黙って動こうとしなかった。
俺も何だか不気味な雰囲気にのまれそうになったけど、思い切って旧校舎の入り口のドア開けてみたんだ。
鍵がかかってると思ってたんだけど、なぜか鍵が開いていてギイィィ……って嫌な音をたてて、不気味さが増した。
旧校舎の中真っ暗で、みんな怖気づいちゃってさ。
誰から入るか揉めたんだけど、ペン型ライト持ってるってことで、B・A・俺という並びで旧校舎に入ってた。
外は湿気があってじめっとしていたのに、不思議と旧校舎の中はひんやりしていて寒いくらいだったし、歩くと時々木がきしんでたよ。
旧校舎自体は、もうほとんど取り壊しされて教室が4つくらいと、トイレが残ってたくらい。
だからそんなに広い場所でもなくて、さっさと見て帰ろうってことになって、手前の教室からひとつづつ見ていくことにしたんだよね。
教室のドアに鍵かかってるんだろうなと思ったんだけど、鍵はかかっていなかった。
最初の教室とその次の教室は、ごく普通の教室で運動会に使う道具とかが雑に置いてあった。机や椅子も教室の端っこに寄せていくつか置いてあったよ。
3つめの教室は…職員室だったんだと思う。
新校舎の職員室にあった机と似たような、大きな机がいくつか綺麗に並べられていて、ロッカーもあった。
ここまで見た段階で、人の姿見えたとかいない人の声が聞こえたっていうのなかったんで、ちょっと気が大きくなっちゃったのか、Bが3つめの教室内にある机の引き出しとか物色しはじめた。
俺らも気が緩んで、何か面白いものないか探し始めたんだよね。
そしたらBが机の引き出しから大きな鍵を見つけたんだけど、どこの鍵かわからない。
とりあえず残りの教室見よう、って話で職員室らしい教室出たんだけど……。

3つめの教室を出て最後の教室のドアの前に立ったときに、急にぞわっとして、鳥肌が立ったんだよね。
AとBは何も感じてないみたいでそのままドア開けて中入ろうとしたんだけど、鍵がかかってた。
それでBが見つけた大きなカギを使ったらドンピシャだったらしく、鍵が開いたんでBが勢いよくドア開いたんだ。
ドアは開いたんだけど……。
「出ていけ!」
って、ドアを開けた瞬間に男の人の声が聞こえて叫びそうになった。
この声AとBにも聞こえたらしくて、全員で顔を見合わせた。
俺なんかヤバイんじゃないかと、2人に帰ったほうがいいんじゃないかっていったんだけど、Bが最後の教室見るって言い張って……。
仕方なく後ついていったら、教室内はがらんとしていて机も椅子もなし。
ただ何故か教室の隅に掃除道具入れるロッカーだけがあったんだよね。
嫌な予感してたんだけど、Bがロッカーのドア開けたんだ。
そしたら……。
ロッカーの中には掃除道具じゃなく、自分たちと同じくらいの年齢の女の子がいた。
女の子はロッカーの中で立ってたんだけど、着ている服はぼろぼろ、顔や体には大きな傷があって血だらけで、恨めしそうな顔して俺らのこと睨んでたんだよ……。
そりゃもう、俺らオバケだ!って、もう怖くて怖くて一目散にその場から逃げ出した。
俺は体育館に戻ったところで後ろを見たんだけど、Aが泣きながら入ってきた。
でもね、いつまでたってもBの姿が見えないんだよ。
Aと2人で大丈夫かな、って心配はしてたんだけど戻る勇気もなかったし、勝手に旧校舎にいって肝試ししたのがばれて怒られるのが怖くて、すぐに先生に言い出せなかった。
そのまま花火の時間になって、人数確認の段階でBがいないことに先生が気付いたんだよね。
保護者と手分けして探し始めたのみて、さすがに隠しておくのは……って子どもながらに思って話したんだ。
そしたら先生は怒るどころか、急に顔色物凄く青くなってさ。
慌てて先生とお泊りに参加してたBのお母さんが旧校舎に行ったら、Bの奴旧校舎のトイレで口から泡ふいて気絶してたって……。

そのままBは病院に入院したらしい。
夏休みが明けても、Bは学校に来ず、一ヵ月経ったころに親の都合で転校することになったって先生から聞いたけど、この事件以来Bとは1度も会ってない。
先生にも旧校舎のこと聞いてみたけど、「その話はするな、忘れろ」と。
風の噂ではBは肝試し後、入院したのは本当だけど精神がボロボロになって廃人同様になって一生病院ぐらしだとか……。
一体Bに何が起こったんだろうかと、今でもふと考えることがあります。



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